上河内神楽団の囃子方は、普段着の上に祭半纏(まつりはんてん)を羽織っています。また、舞殿の下で太鼓や手打鉦(てひらかね)を叩いたり、笛を吹いています。
昔、神楽は皆んなのものでした。観る方も舞の所作や祭文を誦ずることは当たり前のことでした。中には太鼓や笛、調子鉦の名手がいて、ちょっと貸せと太鼓の撥や鉦を取り上げて叩いたり、笛を持参して吹き始める人がいましたし、舞殿の下では一緒に舞う人もいました。時々、舞殿によじ登る輩もいて、観客に引き摺り下ろされることもありました。
そんな人たちのために、囃子方は舞殿の下に置かれ、半纏を羽織るだけで交代することができたのです。
こうして舞う側も観る側も一体となって、神楽を盛り上げていたのです。
囃子方を舞殿に上げてしまうと、ちょっと貸せとはいかないため、上河内神楽団では、こうしたスタイルを、今も護り続けています。